寸?m?インチ?

建築の現場では今もなお、尺貫法がよく用いられています。
たとえば壁を構成する石膏ボードやコンパネ、床材に使われることの多い構造用合板は軒並み「サブロク板」などと言って寸法を言い表すのですが、このサブロクは3寸×6寸という長方形の辺の長さを意味しています。だいたい、建築現場に馴染みのうすい生活を送ってきた人は尺貫法からメーターモジュールへの変換という、英文翻訳のような煩わしさを経験することになります。
ましてや、ウチの会社が採用するツーバイフォー工法は北米伝来のものであり、その意味するところは2インチ×4インチの断面積を持つ材木を基本とすることであるため、3つの度量衡がごちゃ混ぜに共存しているわけです。

また、土地や建物のひろさに関しても、メーターモジュール由来の㎡と、尺貫法による坪や畳、農地に至っては町や反とまた別の規格が混在している有り様で、よほど慣れた手つきの大人でない限りはそれぞれを瞬時に変換した上で、凡その空間の広がりを頭に立ち上がらせるのは難しいわけです。

統一したらええやんけ!と思うのですが、よくよく考えてみれば、西暦と和暦、摂氏と華氏など生活の中にも尺度が複数あるものは山ほどあります。

いったいなぜこんなことになっているのでしょうか。

実は、この煩わしさによって100億円がドブに捨てられたという、歴史的大チョンボを引き起こした有名な話があります。

1999年、火星探査機『マーズ・クライメート・オービター』が事故で失われたまさにその原因が、mとydという異なる測定単位系をごちゃまぜにして使っていたことによると言われているのです。
この単位系をめぐる単純な伝達ミスが事故の原因だとすれば、2度と二の舞を踏まないようにあらゆるモジュールが統一されるべきだと考えるのが自然なように思えます。

しかし、昨日のロイター記事によれば、イギリスのジョンソン首相は離脱で使用に制約がなくなったポンドやオンスといった英国伝統の「帝国単位」を全面的に復活させたい考えを表しているそうです。

https://jp.reuters.com/article/britain-politics-imperial-measurements-idJPKBN2NH03E

つまり、単位は汎用のために用いられる本来の存在理由だけではなく、伝統やアイデンティティを想起させるための象徴的な役割を併せ持つといえます。

そう考えてみれば、建築や不動産にかかわるなかで不便な寸や坪の換算に苦戦するのはある種の通過儀礼に近いものがあり、その面倒くささに文化を見出だす気構えがいるのかもしれません。

※個人的には、社会人8年目にもかかわらず、数字3桁ごとにつく『,』が未だに苦手です。
たぶん、million、billionと3桁ごとに呼称が変わる英数字単位に対して万、億と4桁ごとに変わる日本数字の違いが頭を混乱させています。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

1件のコメント

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